神戸市兵庫区吉田町界隈


 






地元新聞が新年の元旦から「路地を旅する」と題して八つの物語を掲載した。
その7回目が1月8日に掲載になった「名残惜しみ作品に残す」である。

新聞記事の写真が撮影された場所とほぼ同じところに立って撮ったのが、この写真である。記者は脚立でも使ったのだろうか、高い位置からの撮影のように思われる。手前には更地が広がる。

地下鉄海岸線の開通に併せて1993年から土地区画整理事業が進む地域だ。4,5年後にはその事業が終わると聞くが、さらに更地だらけになって路地は消滅する。

記事によれば消え行く路地を作品に残す作家がいるとのこと。古き良き時代の神戸は、そういった記憶の中で生きつづけるのだろうか、なぜか寂しい。

新聞記事は「ここ」をクリックすれば参照できる。




撮影の後に、半世紀にわたって駄菓子屋を営む中川さんを訪ねた。
「路地が無くなってから来られてもなあ」
と苦笑いされた。
筆者は中川さん流の行政に対する痛烈な批判と解した。




度々来れるところでもないので、酒に合う駄菓子を買わせていただいた。
すると中川さんは「街歩きの途中で飲んで」とお茶をくれた。
これじゃ、儲けどころか赤字ではないかと思ったが、その気持ちを受け入れることにした。
こういう人情が下町の路地裏にはまだ生きているのだ。
やがて人々の記憶の中にだけに留まるとしても、ああ中川さんを訪ねてよかったと思う一瞬だ。