イギリス風殺人事件の愉しみ方



昨年の12月18日に「イギリス風殺人事件の愉しみ方(ルーシー・ワースリー 著、中島俊郎/玉井史絵 訳、NTT出版)」が発売になり、版元から筆者のところにも届きました。
年末年始の休みを利用して読みましたので紹介させていただきます。
本書の内容は

なぜ人は「殺人事件」に魅かれるのか?
古今東西、残酷な殺人事件や処刑に興味を引かれるのはなぜか?
特にイギリス人はその傾向が強い。
ヴィクトリア朝から現代に至る殺人事件や犯人像を紹介しながら、一般読者の反応、小説、映画などの想像世界の豊饒さが生み出されてくる過程をつぶさに検討していく。
好評『暮らしのイギリス史』の著者が放つ、異色の文化史第二弾!

で24章で構成されています。
ミステリー小説はあまり縁がなく作家名も一部を除いてわからなかったのでネットの情報を参照しながら読むとよく理解でき面白みも増しました。
本書で扱う年代は1800から1946年ころですが、イギリスという国の知らなかった面、特に産業革命による工業化・都市化の波が地域コミュニティを衰退させ、隣人こそが未知の脅威に変わったことがミステリー文学と結びついたように思います。
最近のわが国でも小説よりも奇異な事件が少なくありません。これも地域との結びつきが弱くなったことに起因しているのでしょう。
ミステリー好きの方はもちろん、筆者のような縁のなかったものにもミステリー小説をじっくり読んでみようと思わせてくれる一冊です。
みなさまも本屋に行かれましたら、ぜひ手に取って見てください。
このような機会を与えてくださりました訳者ならびに版元にお礼申し上げます。
なお詳しい書評が出ていますのであわせてご覧ください→「ここ」をクリック。

イギリス風殺人事件の愉しみ方

イギリス風殺人事件の愉しみ方