神戸シンカイチ「エデン」

先週入り損ねた「エデン」に向う。
ところが営業時間の8時をとっくに過ぎているが、まだ開いてはいない。




開店するまでの時間つぶしに他の喫茶店巡りをする。
かつて営業していた「新開地ホワイト」である。




かなりわかりにくい路地裏にある「喫茶ニッポン」。
名前がメジャーでいいですね。
こちらは、しっかり現役である。



そうこうしている間に、エデンの前に看板が出て営業開始。




どうやら一番乗りのようである。

それもそのはず、8時営業のはずが寝坊して店を空けたのが9時25分。
メディア露出度抜群の「エデン」を切り盛りするのは二代目の堺井太郎さん。




改めて紹介するまでもなく、店内は先代が開業した昭和23年から何もいじってはいないと言う。
今も使われている調度は、船の内装会社の職人がドイツ製家具を手本にして作り上げたもの。
列車の座席風のベンチと椅子、丸いテーブル。焼き鳥の八栄亭ど同様に船を模して作った店内。
港神戸にふさわしいモダニズムがここにある。
そして新開地が光輝いていたころ、デートやお見合いにも利用されていた。




壁面を照らすのは、なつかしいランプ。
そして成田一徹氏の切り絵が彩りを添える。



 



大衆喫茶ホワイトなどでコーヒー一杯が50円の時代に、ここエデンでは100円だったと言う。
品質に拘った先代の意気込みが伝わってくるようだ。
今では、使う喫茶店もほとんどなくなった「コーヒー・アーン」が鎮座する。
ネル・ドリップで五種の豆をブレンドしたコーヒーを抽出する。
昔ながらの珈琲の入れ方が、アナログな人のぬくもりを感じさせ珈琲を引き立てると思うのは筆者だけだろうか。


 



茶店が隆盛をきわめた往時を偲びながら、二代目の堺井さんと話しに熱中しすぎ、撮った写真はミルクを入れた後だったが、格別な味わいがしたように思う。
コーヒー350円。朝ならトーストが無料でサービスとなる。
食べやすく切ったトーストに堺井さんの心くばりを見た。

もうすぐ還暦を迎える店には、先代からの常連さんのほか、市内だけではなく、遠く京都や東京からも人が来ると言う。
昨年の9月には神戸に暮す旧陸軍第十一師団の戦友たちが同窓会を開いた。
レトロ喫茶の取り持つ縁である。

常連さんも、次々と現れて忙しくなり出したので、次の訪問先に向った。