前から行きたいと思っていた三角堂にやっと行くことができた。
この建物は震災後、建て直したもの。どの店も震災の影響が影を落とす。
終戦後すぐからの営業なので60年は経過してるのだろう。
現在の店主は二代目。子供の頃から先代を手伝ってきた。
重工業が繁栄した頃は、忙しくてたいへんだったと懐かしむ。
坂倉酒店の名前入りカレンダーを見て、この立ち呑み屋に時々行くと話しを振れば、
「坂倉酒店もようはやっていたなあ、いまもだけど」
とご主人。
震災で建て替えたそうだが、まだ黒電話の空間がええ味わい。
タイガースのカレンダーがあるところを見るとトラキチなのだろう。
造船の衰退とともに界隈は人通りも少なくなった。
だが、この店を愛してやまない常連さんが今も通う。
「肉、玉(ぎょく)、そば」と叫んで常連さんが店に飛び込んできた。
「朝から二回目ですよ」と女将さんが呆れ顔で言った。
「美味しいからでしょう」と筆者。
きつねうどんに、おにぎりを追加した。
大きな揚げが二枚、甘く煮込んであり美味しい。
麺は讃岐うどんのような腰があるわけじゃなく、古くからの製麺所のものを使っているが、つるつるする、こういう味わいもまた良いものだ。
おにぎりも旨い。ご飯がいいのか、焚き方が上手なのか。一個なら100円が二個なら10円安い。
もともと喫茶店をやっていて、ぜんざいも出していたそうだ。
親父さんも、女将さんもきさくで本日はほっとできた。
ごちそうさまでした。