常盤新平著「ちょっと町へ」


ある時、友人と古書市に出かけた。その時、「MSHIBATAさんと同じような人がいるよ」と一冊の本をプレゼントされた。
 

 
その本こそ、常盤新平著「ちょっと町へ」(1998年、経済界刊)である。
副題に
「あの町で通った店がある
忘れることのできない人がある・・・」
とある。
著者が雑誌「蘇る!」に1995年3月号から1998年8月号まで連載したものである。
 
著者が町に出て喫茶店に寄ったり、昼ごはんを食べたり、あるときは2時間もかけて寿司屋に行ってみたりするのだが、そこには必ず人がいる。町歩きの書とも言えないこともないが、交友記と見ることもできる。
筆者も店に入るとできるだけ店主さんと会話するようにしている。単に食べて店を出るだけでは面白くもない。逆に店主や店の人の顔が見えない店は、有名であろうと行く気がしない。
取り上げている店や場所には、東京にいたころ筆者も行ったことがある藪そばや真鶴なども登場して懐かしく思った。先日テレビに映った「太田さんちのハヤシライス」の店、確か元タカラジェンヌの方がやっている店も出てくるが、たとえその店を知らなくとも臨場感あふれる筆致に吸い込まれ、一気に読み終えた。
 
著者も町と街の使い分けに悩んでいたらしいが、この本でその違いがよくわかったのも収穫のひとつ。なるだけ町を使いたい。町歩きも一層楽しくなる予感がする。
 
なかなか楽しく読み終えることができた。この場で友人に感謝したい。
 
この本に出てきた鰻が食べたくなってきた。神戸で鰻と言えば青葉の名前が挙がる。
けだし値段もそれなりに。
ところが元町北町のかなり西に庶民的な店があった。青柳と言ったかな、来週はそこに寄ってみよう。