神戸文学館企画展「久坂葉子がいた神戸」の記念催し「久坂葉子と神戸を聴く」に行ってきました。
前回(10月4日)の「久坂葉子と神戸を語る」に続きまして二回も参加できたのは幸運でした。
前回同様に会場は熱い空気に包まれていました。
久坂葉子の死の翌年の昭和28年に、彼女の戯曲「鋏と布と型」を放送劇にしてラジオ関西(当時はラジオ神戸)で放送されたそうです。
そのときのテープ(米スコッチ製のオープンテープで35分)が残っており、現物が神戸文学館に展示されていました。腐敗が進んでおりとても音を取り出すことができる代物でないことが素人目にもわかります。
今回もA3で6ページにも及ぶ貴重な資料の中に、テープの発見から困難と思える音の取り出しおよび再放送に至るストーリーがありました。
最初に再放送されたのは平成18年5月29日のこと、最初の放送から五十年以上が経過していました。
更に8年経過した今日、その音を聴く機会に恵まれました。
ラジオからではなく神戸文学館のスピーカーから流れる放送劇の音のクリアなことに正直驚くとともに、戯曲の内容そのものも非常に興味深いものでした。
この音源を聴いたあと、久坂葉子の遺作とされる「幾度目かの最後」の最後の部分をラジオ関西アナウンサー池田奈月さんが朗読してくださり目を閉じて聞き入りました。
いよいよ記念催しも、久坂葉子作の詩「こんな世界に住みたい」を池田アナが朗読してフィナーレを迎えます。なんとアンコールがあって二回も聴くことができました。
進行の元ラジオ関西プロデューサー今林清志さんは「今生きていたら、どんなおばあちゃんになっていたかな。あいたい」といい、池田アナは「生まれる時代が早すぎましたね」と感想を述べておられました。
時間と空間を共有できた熱い記念催しは予定時間を15分以上も超過していました。
参加された方は、それぞれの思いを胸に満足して家路につかれたことでしょう。
本当にいい催しでした。