東の浅草、西の新開地と呼ばれたころ、日本で初めて映画が上映された新開地(正確には近くの花隈)には映画館が数十軒はあったと言われている。
今は数軒を数えるのみである。そのひとつである「パルシネマしんこうえん」からこんぴら坂を登って新開地本通に行く途中に、昭和三十二(1957)年のクリスマスに純喫茶として創業した喫茶小町がある。
店の表の上の看板がコーヒーではなくコーヒとなっていることにお気づきだろうか。
先の震災の傷跡が残り、店内の円柱が傾いているのはその生き証人である。
いまではあまり見かけないかき氷の機械がある。
もちろん現役だ。
インベーダゲームで一世を風靡したテレビゲーム機もある。
写真は麻雀のゲームで、これに興じるお客さんも少ないがいる。
喫茶店であるが、珈琲だけではやってゆけないので定食を出すようになった。。
だし巻きは、もちろん注文してから焼いてくれる。
運ばれてきた盆には、だし巻き、ご飯、味噌汁、香の物に冷奴が付いていてボリュームがある。
今ではめずらしいガラス製の醤油入れがレトロだ。
だし巻きは、出汁がよく効いて美味しい。味噌汁にはたっぷりの揚げ、豆腐、ネギが入っていた。おいしいご飯だ。冷奴も暑い日だったので口もさっぱりした。
久し振りの美味しい昼ご飯となった。
定食は他に、ハムエッグ定食、焼きそば定食、焼肉定食、サンマ定食、ハンバーグ定食など十種類近くある。
オムライスがあるのは、いかにも神戸らしい。
目の前には湊川公園もあるレトロ喫茶小町、歩き疲れたらここで一休み、時間がゆったりと流れる。