神戸の本棚(植村達男著、勁草出版サービスセンター発行)



 
アマゾンに注文していた植村達男さんの「神戸の本棚」が到着しました。

作家の紀田順一郎さんの序文の一部を引用します。

この書物は、古い洋館や六甲の山なみが見える窓辺に、
何気なく置かれるということが最もよく似合うであろう。
あるかなきかの微風が、カーテンをそよがせる。
 ・・・風がやはり時代の風である点を、私は最も評価したいと思う。

筆者も自分の部屋の窓辺に置いてみました。

著者は父親の転勤に伴って東京から神戸に移住し、
中学、高校、大学と神戸での生活は十年ほどしかありません。

それでも神戸という街への愛情が文章のあちこちに見えます。

阪急六甲、将軍通などなど筆者が一時期過ごした場所や何らかの形で存じている人物とも重なり懐かしさが溢れてきます。

本書には以下の随筆が収められています。

神戸の本棚
小説『新雪』と六甲
三人の女流作家
割れた魔法瓶―甲陽学院と『天の夕顔』―
六甲山から街をみると
中山伊知郎野坂昭如
『愛書異聞』という本
「六甲ガーデン」と「ガーデン六甲」
大岡昇平の本
陣舜臣の文庫本・新書
啄木と神戸を結ぶ一冊の本
不思議な小説『風の歌を聴け
堀辰雄竹中郁
挿絵さがし―『蓼喰ふ蟲』小出楢重を追い続ける―
細雪』から「エマヌエル夫人」迄
『猫と庄造と二人のをんな』と摩耶・六甲
高畠達四郎『白チューブの魅惑』から
谷崎潤一郎 住吉反高林旧宅
久々の谷崎伝『仮面の谷崎潤一郎
港 恋 し
謡曲『港が見える丘』と横浜の『港の見える丘公園
港町の小説『ジェームス山の李蘭』
獅子文六『バナナ』の神戸
松井敬子『いっぴきの蟻』のこと
旅 と 活 字
神戸と”ガイジン”
六甲会館をめぐって
二人のエスペランチストを偲んで
古本をめぐって
偕成社の偉人伝
貴志康一のこと
懐かしのメロディー

叶いませんがお会いしたかったお一人です。