「丸一食堂」

映画や大衆演芸で賑わった新開地本通にかつての面影を残す大衆食堂が残っている。
湊川公園に近い大衆食堂のひとつ「丸一食堂」に惹かれるものがあって寄ってみた。






うどん、丼物、しる、めし、おかずと書いた暖簾に郷愁を感じる。
昭和34年の創業以来、50年近くの間、庶民の胃袋を満たしてきた。






店内は典型的な大衆食堂の佇まい。
レトロではあるが、掃除が行き届いておりすがすがしい気になる。
湊川温泉があった頃は賑やかで、忙しかった」
とご主人の松縄重木さんは懐かしむ。
いまは人通りも少ないと言葉少ない。






ガラスのケース内から好みの「おかず」を選び、めしと汁を組み合わせると、その人オリジナルの定食になるスタイルを守っている。汁ものは豚汁がよく出ると言う。






壁に掲げられたメニューには、うどん・そばの麺類、丼物のほか、カレーライスなどもある。
何を選ぼうかと迷ったが「みそうどん」があったので注文。
すると店のおばちゃんが「味噌汁うどん、一丁」と声をあげた。
そうか、味噌汁を略して「みそ」と言うのがミソなんだ(笑)。





熱々の味噌汁にうどんが入っている。
味噌汁だから豆腐も入っている。
このうどんなかなか美味しい。
酒を飲んだ後の〆に合いそうな気がすると思ったら、傍で

酒の後なら汁もんは何でもええなあ」

と女将さんの声。

どうもごちそうさま。

こんな良い店が消えて少なくなるのは絶えがたい。
また寄せていただきます。

大衆食堂を装った食堂が台頭してきた。そして、お客さんも入っているようだ。
しかし考えて欲しい。産地のわからない食材をセントラルキッチンで処理して出されるご飯が美味しいはずもない。
ボリュームも乏しい。そんな安易な食べ物屋は卒業して、日本の食文化を正しく伝える大衆食堂をもっと利用して欲しい。