今夜もひとり居酒屋


友人から「今夜もひとり居酒屋」(中公新書池内紀著)が刊行されたこと教えていただきました。
 

 
早速、「セブンイレブンネット」にて注文。しばらくして、最寄のセブンイレブンに到着しました。
このWEB書店の良いところは、コンビニまで取りに行く必要はありますが、送料が無料になることです。
 
著者の池内紀さんは著名なドイツ文学者であるとともにエッセイストとしても知られています。
また天文学者池内了さんは弟、息子の恵さんはアラブ研究者と学者一家です。
本書の「紹介文」には次のように書かれています。
なお、ここでの居酒屋とはチェーン店のそれとは一線を画することは言うまでもありません。

居酒屋に人一倍したしむようになったのは、「二合半のおじさん」のせいである。三十代初めに出くわして三十年ちかくつき合った。
そしていろんなことをおそわった――へんくつだが、心をひらいた者にはこよなくやさしい。
そんな居酒屋が、方々の町の片隅で慎ましやかに提灯を掲げている。
よく知る店もよし、見知らぬ町の見知らぬ店もよし。
ふらりと入れば、酒に食べ物、店主と客が織りなす独特の時間がそこにある。

店の親父さんや女将さん、出入りするお客さんが織り成す情景を浮かべながら楽しく読める良書です。
おなじみさんのあり方について、次のような作法と言うべきか戒めも書いてありまして、こころせねばと思いました。

こんでいれば遠慮する。
主人とのやりとりは適度に切り上げる。
ダラダラといつまでも座っていない。
懐があたたかい時はいつもより奮発する。

またこんなエピソードの紹介もある。

池波正太郎が食べ物のエッセイに書いている。京都だったそうだが、冬の日の昼下がりに鮨屋で酒を飲んでいたところ、つつましやかな老女がひとり入ってきて、マグロ二つと玉子を二つ注文した。あるじはていねいに鮨をにぎり、さもおいしそうに食べる老女を、目を細めて見守っていた。そして勘定を払った老女が、ここは値がはるがおいしいといって帰っていくのを見送っている。「いつ来る客?」とたずねたところ、あるじは嬉しそうに「年に二度ほど」とこたえた。
本当のことか、それとも小説めかしたエピソードなのか、そんなことはかまわない。老女のような食べ上手になりたいし、こんな主人の店に行きたい。なじみ客が甘ったれると店は堕落する。・・・・

いい話です。
友人のおかげで居酒屋のよさを新たにできました。ありがたいです。
みなさまには、一読をオススメします。