焼き鳥一平、五十余年の歴史に幕



 
またひとつ神戸の老舗が暖簾を降ろす。
 





 
今月29日で店を畳むと伝えられる焼き鳥の一平に昼に寄った。
 





 
先客が二組おられたが、もくもくと食べている。
 
「29日で終りと聞いたんですが」などと言えそうもないし、言わなかった。
 
店内に告知の張り紙があるわけでもなく、知る由もないだろう。
 
かつて一平に足を運んだが、五十余年の歴史に幕を下ろすことを知らない人もいるだろう。
 
掲載を迷ったが、載せることにした。

 





 
アバラと手羽にビールをオーダー。
 
焼ける間、ビールをちびりちびり。
 





 
パートのOさんも、しばらくぶりねとは言ってくれたが、元気がない風だった。
 
一平の焼き鳥を惜しむように食べた。
 
もう食べられなくなるかと思うと最高に旨かった。
 
親父さんに旨い焼き鳥を安い値段で食べさせてもらうようになって三十年近くになる。
 
感謝しても仕切れない。
 





 
帰り際に「29日までに、もう1回か2回来ますね」と口に出すのがやっとだった。
 
今月でわたしの中の昭和が終わる。
 
残された時間は少ない。
 
縁があった方は、そっと行って欲しい。